研究概要 |
外国人の来日数は近年順調な伸びを示しているものの,依然として日本人出国者数との差は大きく開いたままである.そこで,訪日外国人観光客の誘致が極めて重要な課題となってくるが,有効な政策提言のために観光客の志向を現状および将来に渡って的確に把握し,対応することが求められる.本年度は,旅行者の旅行先決定プロセスのモデルを旅行先候補地についての選択肢集合の形成過程を考慮し想定した上で,旅行先候補地の想起から旅行先決定までのプロセスを調査データにより明らかにすることを目的とした.なお,データの取得の為に北海道を訪れた台湾人を対象としたアンケート調査を行った. まず,旅行先候補地については,最初に想起された候補地および選択肢集合形成過程における候補地の2つに分類した上で,その具体例を整理し性格の違いを考察した.その上で旅行者が捉える候補地のエリア範囲に着目し,台湾から候補地までの距離と候補地のエリア範囲の関連,想起された候補地と選択肢集合形成過程における候補地のエリア範囲の違い,属性によるエリア範囲の違いを考察した.エリア範囲の捉え方は,台湾からの距離に単純に相関があるのではなく,その候補地のエリア分割に帰依する部分が大きいこと,海外旅行程験が豊富なほどエリア範囲の捉え方が大きくなることなどが明らかになった,また,旅行者の候補地に対する評価の構造を因子分析により明らかにし,候補地評価における潜在因子を特定し評価構造モデルを作成した.次に,旅行者の意思決定に影響を与えた情報については,候補地想起に影響を与えた情報および最適地域選択過程に影響を与えた情報,詳細行動の決定に影響を与えた情報の3つに分類した上で,その具体例を整理し性格の違いを考察した.
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