研究概要 |
昨年度カテコール誘導体がチタンアルコキシドと反応する事が明らかとなったので、環状シロキサン(1,3,5,7-テトラメチルシロキサン;TMCTS)のヒドロシリル化反応を利用して複数のカテコレート基を持つ分子を合成し、チタンイソプロポキシドとの反応を試みた。まずTMCTSと4-アリルベラトロールとのヒドロシリル化反応を行ったところ^1H、^<13>C NMR、IRからSi-H基、C=C基の消失が明らかとなった。さらに^<29>Si NMRではTMCTSで見られた-30ppm付近のシグナルが試料において-20ppm付近にシフトしており、Si環境が変化していた。以上からヒドロシリル化反応の進行が示された。次に生成物とBBr_3との反応によりエーテル結合の開裂を行った。^1H、^<13>C NMR、IRからOMe基の消失とOH基の生成が示されたことからOMe基からOH基への変換が示唆された。^<29>Si NMRではシクロテトラシロキサン骨格が反応後も維持されていた。エーテル結合の開裂後の化合物とTi(O^iPr)_2(acac)_2(acac=アセチルアセトナト配位子)との反応を行ったところ、^1H NMR、IRからOH基の消失が、^1H、^<13>C NMRからO^iPr基の消失が示された。また^<13>C NMRからカテコールのC-Oを示すシグナルが大きく高周波数側にシフトしており、反応によりC-O環境が変化していたことがわかった。これらの結果はカテコール誘導体が、^iPrOHの脱離を伴いカテコレート基としてTiに配位したことに起因すると考えられる。さらに^<29>Si NMRからシクロテトラシロキサン骨格は維持されていることが明らかになった。
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