研究概要 |
酸化物と金属から成るナノラミネート薄膜および傾斜組成ナノコンポジット薄膜をイオンビームスパッタ蒸着法(IBS)法によって合成し,自己修復性防食機能を発現させることを目的として一連の検討を行い,以下のような成果を得た。 1.酸化物/金属ナノラミネート薄膜作製装置の開発:現有するデュアルイオンビームスパッタ蒸着装置に,ターゲットホルダーの回転によって酸化物と金属ターゲットを交互に切り替え機構を導入し,酸化物/金属ナノラミネート薄膜の作製が可能な装置に改造した。 2.Al_2O_3/Nbナノラミネート薄膜の作製:Al_2O_3およびNb層の厚さと層数を種々変えたAl_2O_3/Nbナノラミネート薄膜を作製した。透過電子顕微鏡観察により,各層の厚さを5nm以下にすると,全層数の多少に関わらず薄膜はアモルファスになることが分かった。また,X光電子分光法を用いて皮膜中の化学種の結合状態を調べた結果,薄膜中のNbは主に金属状態で存在することが分かった。 3.Al_2O_3/Nbナノラミネート薄膜の自己修復性の評価:Na_2SO_4およびNaCl溶液中においてAl_2O_3/Nbナノラミネート薄膜の電気化学スクラッチ試験を行い,自己修復性の有無を調べた。各層の厚さを5nm以下にし,全層数を増加させるとピンホール欠陥が少なく,かつ良好な自己修復性をもつ薄膜が得られることなどが分かった。
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