研究概要 |
臨界点付近の物性値の急激な変化を利用した装置の検討の第一段階として、本研究の成果は3つに分けられる。 (1)吸着応答法の理論的および実験的な基盤を確立したこと 管壁で吸着のあるキャピラリーカラムを用いたショット応答実験から、容量係数と拡散係数を求める方法を理論的に検討した(雑誌論文4)。さらに、カラムをコイル状に巻いたときの2次流れの効果を補正する式を円管内の流れから解析的に導いた(雑誌論文としてChem.Eng.Sci.に投稿中)。これにより、超臨界状態下の拡散係数を測定できるばかりでなく、超臨界下の移動現象の取り扱いに関して理論的な基礎を与え、コーティングカラム中の移動現象のモデル化を行った。 (2)吸着応答法を用いて、比較的大きな分子の拡散係数を実測したこと 実用上有用と考えられる物質の分子量は大きい。ここでは、ω_3系列やω_6系列を中心に分子量が1000近辺までの不飽和脂肪酸の拡散係数を測定し、ビタミン類等の従来のデータと比較し、拡散係数の相関式を導いている。また、分子構造による拡散係数への影響も実測できることを示した。(雑誌論文1,2,3,6) (3)臨点付近の拡散実験を行い拡機構の問題点を明らかにしたこと 臨界点付近の拡散係数には従来より様々な議論があった。本研究での実験手法の改善により、臨界点付近の拡散機構の解明の足がかりをつけたといえる。(国際会議論文:6^<th> Int.Symp.Supercri.Fluids,Versailles,2003に発表したものの、検討が終了していないため、学術誌に発表するに至っていない。) 全体として、本研究の主要目的である「モデル化とこれに付随する各種パテメータ値の推算」についての見通しが立ち、1次の段階に進める状況となった、と言える。
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