研究課題/領域番号 |
14655328
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
向田 昌志 山形大学, 工学部, 助教授 (50302302)
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研究分担者 |
大嶋 重利 山形大学, 工学部, 教授 (40124557)
石井 修 山形大学, 工学部, 教授 (80282234)
神戸 士郎 山形大学, 工学部, 助教授 (20211188)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 薄膜結晶成長 / 面内配向制御 / 酸素不定比量 / 表面抵抗 / 臨界電流密度 / ErBa_2Cu_3O_<7-δ> / オーバードープ |
研究概要 |
超伝導転移温度が150Kを越える銅酸化物系高温超伝導体では、母物質である電荷移動型絶縁体への酸素ドープにより、CuO_2面にキャリア注入されることにより、超伝導性が発現している。そのため、CuO_2面を持つ電荷移動型絶縁体に、無理やり過剰酸素をドープすることは、新たな新材料の創製につながる。銅酸化物系高温超伝導体中でも、REBa_2Cu_3O_<7-δ>(RE:希土類元素)は、大きな酸素不定比性を持ち、ブロック層に相当する一次元CuO鎖部において大きな酸素の出入りがある。軽希土類元素を含むREBa_2Cu_3O_<7-δ>ではBaサイトへのRE固溶によって超伝導性の変化が引き起こされる例はあるものの、基本的にREBa_2Cu_3O_<7-δ>相の超伝導性は酸素量に大きく依存している。そのため、酸素量δは超伝導を担うCuO_2面のキャリア量を制御できることから、臨界温度(T_c)だけでなく、量子化磁束のピンニングに関わる不可逆磁界(H_<irr>)や臨界電流密度(J_c)などの臨界電流特性にも大きな影響を及ぼす。 今回我々は、各種超伝導薄膜をいろいろな酸素状態中で作製し、その作製条件依存性について調べた。これらの作製条件が薄膜内部の酸素量に、どのように依存するかは、非破壊にはx-線回折による超伝導薄膜の軸長から、また破壊検査としては、ヨードメトリ法により評価した。当初は、代表的な酸化物超伝導体であるYBa_2Cu_3O_<7-δ>を中心に、研究を進めていたが、同じくLnBa_2Cu_3O_<7-δ>系超伝導体の中で、高温で酸素を取り込みやすい(オーバードープになりやすい)と報告(報告者:下山淳一東大助教授)のあったErBa_2Cu_3O_<7-δ>薄膜に集中し、研究を進めた。現在までに得られたas-grownの薄膜は、超伝導転移温度がYBa_2Cu_3O_<7-δ>薄膜よりも数度高く、77K付近での表面抵抗(R_s)はこれまでのYBa_2Cu_3O_<7-δ>系薄膜に比べて格段に低くなっている。さらに、現在酸素量の最適化を行っているが、500℃付近で酸素を十分吸わせた後に、急冷することにより、臨界電流密度(J_c)が格段に向上することを確認している。しかしながら、これらの結果は必ずしもバルク試料で得られた結果と合致していない。そのため、薄膜試料での酸素アニールについては更なる実験を行った。その結果、作製温度760℃という従来のYBa_2Cu_3O_<7-δ>薄膜よりも高い作製温度領域に最適条件があり、その薄膜を酸素中処理することによりこれまでにない、高いJ_cが得られた。これらの結果は現在、学会誌に投稿中である。
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