研究課題/領域番号 |
14656060
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石田 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90192484)
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研究分担者 |
齊籐 陽子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00302597)
井出 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90213024)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 重力散布 / 山地斜面 / ミズナラ / 個体群の遺伝構造 / カケスによる散布 / 秩父山地 / 種子散布 / 遺伝構造 / ウダイカンバ / 風散布 / 動物散布 |
研究概要 |
東京大学秩父演習林の31林班は1小班飛び地の、周囲をスギとヒノキの人工林に囲まれて孤立した落葉広葉樹を主体とした二次混交林において、3cm以上の胸高直径木の毎木調査、主な個体の樹木位置の測量を実施し、植生の概要を把握した。また、ミズナラの実生および若木の分布を調べた。その結果、プロットの周囲においては斜面下方であっても、ほとんどの実生が樹冠下と下方にあっては樹冠の10数メートル下ていどまでに集中していた。しかし、プロットから離れた、近くにミズナラの母樹がない針葉樹人工林内の各所で、ミズナラの実生を発見した。そのため、発生する実生の分散手段としては、重力散布よりも動物散布の割合が大きいことが推定された。プロット内のミズナラの内、30個体の葉を、Steinkellnerら(1997)およびIsagi&Suhandono(1997)のマイクロサテイライトマーカー4個で分析したところ、それぞれ4、8、13、17ずつの対立遺伝子多型があり、全個体が識別された。また、これらのマーカーを使って、ミズナラの堅果の種皮から母樹と同じDNA型か得られたことから、今後DNA多型の比較によって果皮と果皮のついた地下子葉が残っている実生の母樹であるかないかを確認できると考えられた。 秩父演習林27/28林班のミズナラ林分から、谷を越えて約1.5km離れた対岸の斜面まで、カケスが繰り返しミズナラの堅果を運搬する行動と、運搬先の母樹のない区域にミズナラの実生が発生していることを確認した。今後、試料採取した実生の母樹の特定を試みる。 27/28林班界の標高約950mから標高約1500mまでの斜距離約1500mのベルトトランセクトでブナ科堅果の実生の分布と消長を記録し、実生発生位置に年変動があることを確認した。今後、実生と母樹の位置関係を特定し、重力による斜面下方への散布の有効性を確認すると同時に、カケスによる散布と、区域全体のミズナラの遺伝構造を待避させて、ミズナラのドングリの散布、更新における重力と動物の散布の役割を考察していく予定である。
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