研究課題/領域番号 |
14656123
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 教授 (10144007)
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研究分担者 |
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助教授 (80196774)
伊藤 直人 岐阜大学, 農学部, 助手 (20334922)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | リバースジェネテックス法 / 狂犬病ウイルス / 糖(G)蛋白質 / 神経伝達物質 / キメラウイルス / 致死的感染 / 糖蛋白 / ヌクレオ蛋白 |
研究概要 |
神経病原性ウイルスの神経組織内への侵入と移動には、種々のレセプターや軸索流などの宿主側の要因と内殻あるいは外殻蛋白質のウイルス側の因子が担っていると言われている。しかし、ウイルス構造蛋白質、なかでも外殻(G)蛋白質のどの分子が関わっているのかはほとんど明らかにされていない。そこで、神経病原性ウイルスの代表格である狂犬病ウイルスを用いて、まずそのG蛋白質における神経病原制御領域の特定を、マウスに致死的感染を起こし神経親和性の強い強毒株G蛋白質の神経病原性に関与すると推測されていた種々のアミノ酸領域をそれぞれコードする遺伝子と、他の遺伝子はすべてマウスに非致死的な弱毒株由来の各種キメラウイルスをリバースジェネテックスにより作出し、それらのマウスに対する致死感染の有無から行った。その結果、G蛋白質の242位のアラニン、255位のアスパラギン酸、268位のイソロイシンの3アミノ酸の共存が致死感染に必須であることを直接的に明らかにした。すなわち、G蛋白質242-268位の27アミノ酸分子が病原性に係わる神経伝達物質である可能性が示された。これをさらに確認するために、つぎに上記とは正反対に強毒株遺伝子を基盤に、一部の遺伝子を弱毒株由来にしたキメラウイルスを作出し、それらの病原性を調べた。予想に反して、G蛋白質あるいは27アミノ酸分子のみを弱毒株由来にしても、それらのキメラウイルスは神経病原性を維持しており、弱毒化にはG遺伝子と他の遺伝子との共同作用の必要なことが確認された。このことから、通常は作動していないがG蛋白質の27アミノ酸分子の欠如または変異により病原を惹起する分子が他の遺伝子内に潜在していることが推察された。以上の結果は、狂犬病ウイルスの神経病原性の強弱に係わる、これまで全く明らかにされたことのない新たな発現機構の提案と言える。現在、今回発見した病原分子と相互作用する宿主因子を探索中である。
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