研究課題/領域番号 |
14657002
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岡部 繁男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60204012)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | トランスジェニックマウス / GFP / 嗅球 / 蛍光顕微鏡法 / 神経前駆細胞 |
研究概要 |
マウス胎児脳組織における神経前駆細胞の移動を観察するため、神経前駆細胞に特異的に発現する遺伝子であるT α1 tubulinのpromoterを用いて、オワンクラゲ由来の蛍光蛋白質であるGFPを発現するトランスジェニックマウス系統を作成した。このマウスでは終脳から脊髄に至る神経前駆細胞において強いGFPの発現が胎生10日から15日の間に観察された。この胎児期のマウス嗅球を取り出し、ゲル内で器官培養し、数時間の間に起こる神経前駆細胞の嗅球内での移動をタイムラプス観察した。嗅球内での神経前駆細胞の移動は胎生13日および14日において活発であり、しかもその移動は極めて急速で、かつアメーバ様の運動様式を示した。このような運動はこれまで胎児期の脳組織において観察された事がなく、新しい神経前駆細胞の運動であると考えられる。移動中のGFP陽性細胞を固定し、神経細胞のマーカー分子であるMAP2で染色した所、移動中のGFP陽性細胞はMAP2陽性の神経前駆細胞である事が確認された。また、この神経前駆細胞の運動はアクチン重合阻害剤により抑制され、またカルシウムチャネルの阻害剤により抑制された事から、細胞内カルシウムによるアクチン依存性の細胞運動によっている事が示唆された。今回作成したT α1 tubulin promoterによってGFP分子を発現するトランスジェニックマウスは神経前駆細胞の胎児期脳内での移動様式を研究する上で極めて有用であり、また嗅球全体の器官培養をレーザー顕微鏡によるタイムラプス観察と組み合わせる事により、これまでの脳スライス標本では観察する事の出来なかった神経組織内での細胞移動様式を解析する事が可能になると考えられる。
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