研究課題/領域番号 |
14657041
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (20231798)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | グルタチオン / S-グルタチオレーション / MMP / NO / パーオキシナイトライト / Cysスイッチ / ニトロ化反応 / ジスルフィドSオキシド |
研究概要 |
近年、血管機能が、一酸化窒素(NO)や過酸化水素などの反応性分子種によりレドックス依存的に制御されていることがわかってきた。血管組織のリモデリングは、細胞外マトリックスの分解に関わる蛋白分解酵素であるmatrix metalloproteinase(MMP)によりもたらされる。MMPは、不活性前駆体として産生され、その活性化はプロペプチドドメインに存在するconsensus motif(PRCGVPD)のCys残基の酸化によりもたらされることが知られているが、その生理学的意義は不明であった。 今回我々は、NOとスーパーオキシドの反応産物であるパーオキシナイトライト(ONOO^-)による全く新しいMMP活性化機構を見出した。この活性化は、生体内の主要なレドックス制御ペプチドであるグルタチオン(GSH)により巧妙に調節される。すなわち、ONOO^-は、GSHのニトロ化反応を介して、GSHとMMPのPRCGVPDとの付加反応(S-glutathiolation)をもたらし、MMPを強力に活性化することが明らかとなった。尚、この際形成されるジスルフィド結合は、これまで生体内生成が知られていなかったジスルフィドSオキシド結合であり、生理的還元反応では解離しない。 さらに、本年度の研究においては、NOによる細胞内ニトロ化反応による全く新規のシグナル伝達機構が存在することがわかってきた。具体的には、NOやONOO^-が、細胞内のヌクレオチドプールのグアニンを効率よくニトロ化して、8-ニトログアノシンを生成すること、この8-ニトログアノシンが、強力なレドックス活性を介して細胞内のレドックスレベルを制御することである。このことは、細胞内ニトロ化反応が、血管機能や血管リモデリングを制御していることを示唆している。
|