研究課題
萌芽研究
再生医療において移植細胞の生体内での局在を検出するシステムはいまだ確立されていない.移植細胞源として期待される骨髄間質細胞を生体外にて超常磁性体酸化鉄(SPIO)でラベルした後、モデル動物へ移植しMRIによる追跡が可能か否かを検討した.方法として、ヒト骨髄より採取した骨髄間質細胞を用い、SPIOであるResovistを培養液に添加し、細胞内への導入を行った.ラベル細胞の造影効果はNMR spectrometerにてT2緩和時間を測定した.ラベル細胞を免疫不全マウスの大腿部筋層内に注入し、T2-weighted fast spin-echoにてMRイメージングを行うとともに組織像との比較を行った.Resovist導入開始24時間で98%の細胞に鉄染色陽性を確認し、spectrometerにて細胞量に依存したT2短縮効果を認めた.移植後はT2強調像にて移植部位に境界明瞭な低信号領域が描出され、組織学的にも同領域に生存する移植細胞の局在を確認した.低信号領域は移植後8週にても描出されていたが、組織学的には移植後2週以降、宿主由来と思われる鉄染色強陽性細胞の増加が見られ、MRI画像が正確に移植細胞を反映しているとは言えなかった.以上のことより、結論として生体内外において細胞に導入されたSPIOの造影効果が維持され、MR画像にて描出できることが明らかになった.マウス移植モデルにおいては、MR信号減弱が移植細胞由来であると判断できるのは1週以内であったが、移植初期の細胞局在を確認するシステムとしては有効であることが明らかになったことは、「再生医療・細胞移植に対する病理学的な評価システムの確立」にとって極めて重要な意味があると考える.
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Mol Cell Biol in press,
Mol.Biol.Cell 16(3)
ページ: 1491-1499