研究課題/領域番号 |
14657061
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | (財)岐阜県国際バイオ研究所 |
研究代表者 |
赤尾 幸博 (財)岐阜県国際バイオ研究所, 遺伝子診断部, 部長 (00222505)
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研究分担者 |
臼倉 治郎 名古屋大学, 大学院・医学研究科・機能形態学, 助教授 (30143415)
吉田 均 (財)岐阜県国際バイオ研究所, 研究員 (30303548)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 翻訳開始 / DEADボックス蛋白 / RNA構造 / RNAヘリカーゼ / 遺伝子発現 / 発癌 / C型肝炎ウイルス / 肝癌 / c-myc mRNA / 大腸腫瘍 / C型肝炎 |
研究概要 |
近年、ヒトゲノムの全塩基配列がほぼ明らかになり、ポストゲノムとして転写制御および蛋白の機能解析に焦点が移りつつある。本研究では転写後産物の修飾から蛋白合成に至る過程でとりわけ重要なRNA構造の修飾を行う翻訳開始制御機構(RNAの構造変化からリボソームへのアクセス)の究明をめざし、発癌との関連を研究した。 生命現象の必須分子であるRNAは、その塩基配列に対応した二次または三次構造(大部分は複雑にねじれた2本鎖になっている)をなしており、RNA構造の変化はRNAの安定化、その機能、とりわけ遺伝子発現(mRNAの代謝、蛋白合成)と深く関連すると考えられる。すなわち、mRNAのスプライシング、翻訳開始、さらにリボソーム合成などはRNAの構造変化(巻き戻し)が必須である。近年、RNAの構造を変える酵素群RNAヘリカーゼ(2本鎖高次構造を1本鎖mRNAに巻き戻す)がウィルスからヒトに至る多くの生物でDEAD(Asp-Glu-Ala-Asp)ボックス蛋白として発見されてきた。我々は11q23に局在する転座標的遺伝子RCKがDEADボックス蛋白(RNA helicase family)であり、大腸腺腫ではrck/p54蛋白とc-myc蛋白が共高発現していることを見い出した。さらにヒト大腸癌細胞株にRCK遺伝子を導入し、rck/p54蛋白を高発現させるとc-myc mRNAの翻訳効率を上げ、c-myc蛋白の合成を促進させることを明らかにした。今年度は精製したrck/p54蛋白、in vitroで生成したc-myc mRNAを用いて形態学的手法によりその機能を検討した結果、rck/p54はRNA unwindase活性を示し、複雑な3次元構造を持つc-myc mRNAを直線に近いほぐれた構造に変えることが明らかになった。rck/p54のこの活性はRNA依存的、ATP依存的であることが確認された。表面プラズモン共鳴アッセイにおいても同様にATP存在下でRNA分子との特異的な結合が示された。しかしながらRNAの基質特異性、さらにどのような機構で構造を認識するか今後残された問題である。また、C型肝炎から肝癌に移行する機構にrck/p54が関与している可能性が示され、臨床応用に向けた基礎研究の必要性が示唆された。
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