研究課題/領域番号 |
14657062
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
神谷 晴夫 弘前大学, 医学部, 教授 (70002079)
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研究分担者 |
長内 理大 弘前大学, 医学部, 助手 (30361009)
佐藤 宏 弘前大学, 医学部, 講師 (90211945)
松尾 加代子 弘前大学, 医学部, 助手 (80333475)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | エキノコックス / 多能性条虫幹細胞 / 包虫化細胞 / 石灰顆粒形成細胞 / 石灰小体関連タンパク質 / ヒノキチオール / Echinococcus multilocularis / 条虫幹細胞 / 組織培養 / 石灰小体 / 原頭節 / 幼若化 / 成虫 / サイトカイン |
研究概要 |
エキノコックス症は、北海道での流行のみならず本州への伝播が強く懸念されている。一方、エキノコックスは無性増殖と有性生殖の2面性発育動態を有し、それが本症の病原性とも関連し有効な治療法の開発を妨げている。 1.多能性条虫幹細胞の解析: (1)In vitroでの検討:(1)包虫化細胞の特定:多包虫感染スナネズミより採取した包虫組織を、コラゲナーゼで消化し、得られた細胞をスフェロイド・プレート等を用いて、10%FCS加MEM培地で培養したところ、包虫へ発育する大型細胞と石灰顆粒を形成する細胞が特定された。(2)培養虫体の包虫化の検討:原頭節と感染イヌより採取した幼若成虫の包虫化を同様に検討し、虫体の膨化と包虫化との関連性が示唆された。 (2)In vivoでの検討:原頭節をイヌに経口投与し、経時的にイヌ腸管より回収した亜成虫を、スナネズミ等の腹腔内に移植し、その発育動態を検討した。その結果、イヌ感染後7日目までの幼若成虫は、なお包虫化能を有していた。一方、感染後21日目の虫体は、移植腹腔内で成虫となり産卵し、虫卵に起因した包虫化が明らかになった。このことは、幼若成虫であっても、なおしばらくは包虫化能を有していることを示している。あわせて、終宿主動物を虫卵排出時期まで使用せずに、安全に虫卵を得る方法が示唆された。 2.石灰小体関連タンパク質の解析: 石灰小体は条虫にとっては必須の組織構造であることを考慮し、石灰小体付着タンパク質を検索し、特定出来たので、そのcDNAクローニングを行っている。このことにより、駆虫薬の開発への新しい方向性が期待される。 3.エキノコックス殺虫剤の検討: ヒバ等から得られるヒノキチオールは殺エキノコックス作用を有し、石灰小体との反応が示された。 以上の検討から、幼若化(無性増殖)、成虫化(有性生殖)を規定する因子解明への新たな方向性が示唆され、その視点からのエキノコックス症治療法の開発の可能性が期待できる。以上の成果は関連学会で既に逐次発表されている。
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