研究概要 |
1.可溶性TLR4 (sTLR4) cDNAをHis-tagを含む大腸菌用発現ベクターに組み込み、トランスフォームさせた大腸菌を大量培養した後、吸着カラムによる精製を行った。また哺乳動物細胞(CHO-K1細胞)の大量培養からのsTLR4の精製を行った。NFーκBレポータープラスミドをtransfectしたマウスマクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いて、上で精製したsTLR4による前処置が、LPS刺激によるNF-κB活性化およびTNFα分泌におよぼす効果を解析した結果、量依存性に有意に抑制することがわかった。 2.Th1タイプ優位のC5 7BL/6マウスの樹状細胞(dendritic cell : DC)とTh2タイプ優位のBALB/cマウスのDCのTh1/Th2関連のサイトカイン産生能の差の原因を探るために、脾臓DCのToll-like receptor(TLR)mRNAの発現、さらにそれらのリガンドである各種菌体成分に対するサイトカイン産生能を比較検討した。その結果C57BL/6のDCはBALB/cに比べて、TLR-9mRNAの発現が高く、TLR-2,4,6 mRNAの発現は低かった。TLR-4のリガンドである合成リピドA, TLR-2リガンドの合成リポ蛋白、TLR-2/6に認識されると考えられているザイモザン、およびTLR-9のリガンドであるCpG(細菌DNA)に対して、C57BL/6由来のDCは高いレベルのIL-12P40の産生を示したが、合成リピドA,合成リポ蛋白、およびTLR-9のリガンドであるCpG(細菌DNA)に対して、BALB/c由来のDcはMCP-1の産生が有意に高かった。以上の結果から、C57BL/6マウスとBALB/cマウスの感染抵抗性の差の要因として、DCのTLRを介するシグナル伝達の違いによるサイトカインの産生能の差が考えられる。
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