研究課題/領域番号 |
14657116
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 幾夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30119028)
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研究分担者 |
細野 治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50190210)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | Cas-L / β1インテグリン / ATL / HTLV-1 / ドックキング蛋白 / Tax / NF-κB / チロシンリン酸化 / シグナル分子 / 関節リウマチ / taxトランスジェニックマウス / Fyn / lck |
研究概要 |
β1インテグリンはファイブロネクチンなどの細胞外基質やVCAMの受容体として、細胞接着のみならず細胞の増殖、遊走、アポトーシス等の生物学的なプロセスに重要な役割を果たしている。我々がT細胞においてクローニングしたCas-L(Crk-associated substrate lymphocyte type)は、インテグリンの架橋により強くチロシンリン酸化を受けるドッキング蛋白質である。 Cas-Lの成人T細胞白血病(Adult T cell Leukemia : ATL)の病態生理における役割を検討した。ATL患者腫瘍細胞及びHTLV-1感染T細胞株において、Cas-L蛋白の発現及びチロシンリン酸化亢進が認められた。Cas-LのATLの病態への役割を検討のため、細胞遊走能及び蛋白のチロシンリン酸化を検討したところ、JPX-9細胞株において、HTLV-1 Taxの誘導に伴い,Cas-Lの発現が増強し、フィブロネクチンをコートした膜上での細胞遊走も亢進した。さらにTwo-hybrid法を用いてHTLV-1感染T細胞株由来のライブラリーからCas-L結合分子のスクリーニングを行った結果、Taxが結合蛋白であることが同定された。共沈実験でCas-Lのセリンリッチ部位がTaxへの最も高アフィニティ結合部位であり、Cas-LとTaxは細胞質部位で共局在することがconfocal microscopyで明らかにされた。さらにCas-Lの強発現によりTax由来NF-κBの活性化を抑制するが、Tax-反応要素(TRE)は影響されず、このことからCas-Lは特異的にTaxによるNF-κB経路を調節することが判明した。このようにCas-LはATLの病態に鍵となる分子であることが示唆され、Cas-LとTaxとの相互作用の理解をさらに深めることは、ATLの新しい治療法開発に繋がる可能性がある。
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