研究課題/領域番号 |
14657164
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 敏郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (10114125)
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研究分担者 |
高橋 克敏 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00292863)
下沢 達雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90231365)
安東 克之 東京大学, 保健センター, 講師 (60184313)
一色 政志 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70302734)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 酸化低比重リポ蛋白(LDL) / レクチン様酸化LDL受容体-1(LOX-1) / 動脈硬化 / peroxisome proliferator-activated receptor γ / 酸化ストレス / 抗酸化物質 / 遺伝子改変動物 / LOX-1 / PPARγ / TNFα / 腎障害 / タウリン / サイトカイン |
研究概要 |
内皮細胞に存在する酸化低比重リポ蛋白(LDL)受容体としてはじめて同定されたレクチン様酸化LDL受容体(LOX-1)は高血圧を始めとする生活習慣病のモデル動物やヒト動脈硬化巣で発現が亢進しており、酸化ストレス亢進や接着因子などの発現亢進を介して動脈硬化形成に関与していると推測されている。一方、peroxisome proliferator-activated receptorsγ(PPARγ)は逆に酸化ストレス抑制作用などにより血管保護的に働いていると考えられている。そこで、PPARγとLOX-1の関係を調べたところ、培養内皮細胞においてサイトガイン刺激時のLOX-1発現亢進をPPARγリガンドが抑制することを見出した。さらに、in vivo(マウス)においてもPPARγリガンドのチアゾリジン誘導体を前投与しておくとTNFα腹腔内投与時の腎臓や大動脈におけるLOX-1発現亢進が抑えられることが明らかになった。この機序としてはPPARγリガンドの抗酸化作用が重要である可能性が推測された。そこで、他の抗酸化物質であるタウリンの腎保護作用を腎障害を来たしやすい高血圧モデル動物である(食塩負荷)Dahl食塩感受性(S)ラットで検討したが、タウリンは降圧効果は弱いにも関わらず、腎機能を改善し、この際に酸化ストレス抑制と腎LOX-1発現抑制を伴っていた。このことはLOX-1の発現における酸化ストレスの重要な役割を示唆するものであった。さらに、in vivoにおけるPPARγとLOX-1の関連を明らかにする目的で、PPARγノックアウトマウス(ヘテロ接合体:ホモ接合体は胎生致死)においてTNFα投与時の腎LOX-1発現は変わらなかった。これはノックアウトマウスがヘテロ接合体であったためかも知れない。さらに、LOX-1ノックアウトマウスを用いた実験ではLOX-1発現刺激の一つである長期アンジオテンシンII投与を行っても、野生型に認められるような大動脈におけるVCAM-1やMCP-1の発現増加を認めず、LOX-1の下流にこれらの因子があることをin vivoで始めて明らかにした。さらに、LOX-1遺伝子改変動物の実験ではLOX-1の機能敵意意義を明らかにする成果が出つつあり、萌芽的研究としては十分意義のあるプロジェクトであった。
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