【背景・目的】経皮的冠動脈形成術・経皮的末梢動脈形成術・冠動脈バイパス術等における術後再狭窄は依然解決されていない。今回我々は再狭窄に対する新しいstrategyとして細胞移植療法に注目し、MCP-1によって活性化されたrat bone marrow monocyte-lineage cellによりrat ballon injured arteryの最狭窄が抑制できるかどうかについて検討した。【方法・結果】rat骨髄細胞より比重遠心によりmononuclear-lineage cellsを採取し、更にCD11b抗体によるsortingによりmonocyte-lineage cellsを採取した。細胞はFITCにて染色したのちleft common carotid arteryに対してballon injuryしたratに経静脈的に移植した。MCP-1を筋肉注射よって前処置したratにmonocyte-lineage cellsを移植した場合と、in vitroでMCP-1とmonocyte-lineage cellsをincuvationした後に移植した場合には、細胞は内皮に接着することにより内膜肥厚を抑制し、それは内皮系細胞に分化していた。同様のことは末梢血のmonocyte-lineage cellsには認められなかった。再生した内皮はEvans Blueによる検討ではで染み出しを認めず、Acetylcholine負荷による検討ではNO依存性の弛緩を認めた。再生した内皮を免疫組織化学的に検討したところ内皮系のmarkerで陽性となったが、リンパ球系や単球系のmarkerでは陰性であった。monocyte-lineage cellsをangiogenic factorの入ったmediumでcultureしたところ同様に内皮細胞系への分化が認められた。HUVECにE-selectinをtransfectionしたflow assayで検討したところ、rat末梢血より骨髄細胞のmonocyte-lineage cellsでrollingやadhesionが多くみられ、それはMCP-1により活性化した。【結論】今回の我々の検討により、血中MCP-1濃度が上昇している動脈効果の症例にmonocyte-lineage cellsを移植することは、血管形成術後の再内皮化に大きく寄与することが示唆された。
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