研究概要 |
今期の実験目標は、前年度の予備実験の結果よりカルベジロール2mg/Kg/dayの少量をTO2ハムスターへ16週間投与した(C群)、上記経口摂取をしないTO2ハムスター(T群)および対象としてF1Bハムスター(F群)の3群において23週に下記を検討した。(1)血中の交感神経活性を示す(Adr), (Norado), (Dopa)の測定、(2)左室心筋重量/体重比,(3)病理所見より心筋総面積、総繊維化面積、心筋繊維化率を計算する。(4)各群においてクロロホルム吸入麻酔およびペントバルビタール40mg/Kgによる腹腔麻酔後、大腿静脈を確保し、^<125>I-MIBG 300μCiを経静脈的に投与した。4時間後に堵殺し、心筋においてミクロARGを行った。 (1)血中のAdr, Norado, DopaのC, T, F群:Adr1.93,1.53,1,96ng/ml, Norado4.77,3.95,3.37ng/ml, Dopa0.13,0.16,0.15ng/mlとC群において軽度上昇傾向を認めた。(2)左室心筋重量/体重比のC, T, F群:^*0.48、^*0.538、^*0.351(^*P<0.01)とT群において有意な増加を認めた。(3)心筋繊維化率のC, T, F群:^*0.15、^*0.20、^*0.002(^*P<0.01)とC群において有意な繊維化の減少を認めた。 (4)心臓内^<125>I-MIBG分布を観察する目的の電子顕微鏡によるARG作製するための技術的な問題を解決できないため、超薄切片による光顕ARGの検討を行った。凍結包埋用クリオスタットで3-5μm厚の超薄切片を作製し、stumpf法にて乳剤塗布済みスライドグラスに切片を作製し、(a)クロム酸、(b)ホルマリン&メタノール、(c)無固定の3種類の光顕ARGを作製して、心筋内の^<125>I-MIBG分布を観察した。、(a)乳剤銀粒子0.26μmに対して切片厚の限界が3-5μm厚のため局在は不明であった。(b)(c)乳剤によるアーチファクトが多く評価は困難であった。以上より心筋症ハムスターに対してのβブロッカーであるカルベジロールの投与は、心筋繊維化を防止することが病理所見より示された。しかし、光顕ARGによる心臓内^<125>I-MIBG分布は困難と考えられた。
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