研究概要 |
1)腎臓におけるKruppel-like factor(以下KLF)の発現。 現在までKLFは我々の単離したKLF15を含めて16種まで報告がある。このうち、腎臓に高い発現が報告されているKLF8,9,12,15について、出生前2日から生後4週までの発現パターンを検討した。このことは、我々が注目する輸送体の多くが発現する髄質内層の発生が出生後に起こることから、その時期に一致して発現に変化のみられるKLFを検索するためである。発現レベルは、real time RT-PCR, western blot(KLF12の抗体は新規に作成した。)にて行った。この結果、KLF12,15が出生後約2週に発現しはじめることが判明した。この経過は、我々の単離したクロライドチャネルCLC-K1の発現パターンと類似していた。次に、KLF12について、腎臓内での発現部位をin situ hybridization法にて検討した。皮質においては、血管内皮,中膜細胞、間質の細胞の一部、髄質においては内層基部の細胞に高発現がみられた。今後さらに細胞の同定をすすめていく。 2)KLF15ノックアウトマウスの作成 我々の単離したKLF15の生体内での役割を探るため、KLF15ノックアウトマウス作成を試みた。コンディショナルノックアウト作成のため、lox-P配列間にATGコドンを含むエクソンをミドルアームとしてノックアウトベクターを作成し、ES細胞にトランスフェクトし組み替えES細胞クローンを20クローン以上を得た。これをblastcystにinjectionし、キメラマウスを今現在5匹(ほぼ全て90%以上キメラ)得る事に成功した。今後ノックアウトマウスを作成し、形質を検討する。
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