研究課題/領域番号 |
14657264
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40252457)
|
研究分担者 |
仁藤 新治 田辺製薬(株), 創薬研究所・先端医学ユニット, 主任研究員
|
研究期間 (年度) |
2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
キーワード | ES細胞 / VEGF / 血管ホルモン / 内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / 前駆細胞 |
研究概要 |
我々はこれまで、血管ホルモンに着目しその血管リモデリングにおける意義に関して一貫して研究を続けてきた。一方、最近になり我々はマウスES細胞より内皮細胞と血管平滑筋細胞の双方への分化が可能な、まさに"血管先駆細胞(幹細胞)"と呼びうる細胞の単離同定に成功した。すなわち、我々は血管新生因子であるVEGFの受容体であるFlk1陽性細胞より、内皮細胞、壁細胞(血管平滑筋細胞及びペリサイト)の双方が分化することを発見した。本研究は、霊長類ES細胞を用いたin vitro血管発生分化システムを駆使して、創薬につながる新規血管再生液性因子(血管ホルモン)の網羅的探索を目的とした。すなわち、これまで我国においてほとんど取り扱われなかった霊長類ES細胞を用いて、それらの細胞をレポーター細胞として構築し、新たな血管再生ホルモンのクローニング法を開発することを目指した。本研究課題により、以下の研究成果を得た。カニクイザルES細胞を用い、Flk-1発現動態及び内皮細胞及び血管平滑筋細胞の分化について、マウスES細胞と比較して検討した。マウスES細胞では、未分化なES細胞はFlk-1を発現していないが、コラーゲンIVコートディッシュ上で4日間分化誘導を行うと30〜40%がFlk-1陽性となる。一方、サルES細胞はマウスES細胞と異なり、未分化な状態で既に大部分の細胞がFlk-1を発現していた。しかし、これらの未分化ES細胞に含まれるFlk-1陽性細胞は、血管前駆細胞としての働きを持たなかった。マウス頭蓋冠由来のフィーダー細胞との共培養にて分化誘導を試みたところ、一度Flk-1陽性分画がほぼ消失したのち、8日後に再び8%がFlk-1陽性でかつ内皮マーカーVEカドヘリン陰性となった。これらの細胞は未分化ES細胞が持つアルカリフォスファターゼ活性を持たず、Flk-1陽性の未分化ES細胞とは異なるものであった。このFlk-1陽性VEカドヘリン陰性細胞をFACSにて分離し、再培養したところ、VEカドヘリン陽性PECAM1陽性eNOS陽性の内皮細胞及びα平滑筋アクチン陽性カルポニン陽性の壁細胞が出現し、それらはコラーゲンゲルによる3次元培養にて血管様構造を構築した。以上、我々は霊長類ES細胞における血管前駆細胞の分化誘導とその性状の把握に成功した。 更に我々は、マウスFlk-1遺伝子5'領域-640/+299の部位及び3'イントロン部位(+1677/+3947)をGFP発現遺伝子に組み込んだベクター(8.5kb)を構築し、これをマウスES細胞に導入発現する系を確立した。また、ES細胞と共培養することにより、Flk-1陽性VPCの分化を誘導することのできるマウスストローマ細胞株OP-9よりcDNAライブラリーを構築した。今後、同定したサルES細胞由来血管前駆細胞を用いたGFP発現系を確立し、OP-9cDNAライブラリーより新規血管発生分化誘導ホルモンを探索する予定である。
|