研究分担者 |
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
白石 泰之 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (00329137)
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学部, 助手 (20339691)
北村 信夫 京都府立医科大学, 心臓血管外科, 教授 (70075513)
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研究概要 |
補助人工心臓は重症心不全患者に対して有効な治療手段であるが,高価格であり,またその利用が高度先進医療施設に限定されることから適用数は極めて少ない.このため,急性心不全といった短期間での回復が期待される症例に対しては,有効な医療デバイスが国内において存在しない現状にある.本最終年度は,真空成形法により大量生産技術を確立した旋回渦流型拍動血液ポンプを基盤とし,どの市中病院でもほぼ常備している大動脈バルーンパンピング用駆動装置(IABP駆動装置)を流用して臨床で要求される性能を満足すべく,駆動装置のアタッチメントを開発した.あわせて,カニューレのプロトタイプを作製してポンプシステムとしての総合的性能を明確化した.IABP駆動装置を用いた際には,人工心臓用駆動装置と比較して1.5倍の溶血量が生じることが判明した.この原因として,IABP駆動装置による駆動圧力波形の急激な変化による血球へのダメージが考えられた.そこで,駆動圧の最大,最小圧及びdP/dtを低減させること目的に,ニードル弁・圧力タンクで構成する一次遅れ系要素を応用した圧力制御ユニットを開発した.このユニットをポンプと駆動装置の間に接続するだけで,ポンプの拍出量は維持したまま駆動陽・陰圧をそれぞれ32%,55%減少させることができた.さらに,人工心臓用駆動装置を用いた場合と比較して溶血量を7.4%減少させることに成功した.あわせて,患者の精神的負担と感染リスクを低減させることを目的とし,内径が体外部19mm,皮膚貫通部10mm,体内部12mmという皮膚貫通部のみを細径化したカニューレを設計・製作して性能試験を行った.その結果,本ポンプシステムで5L/minを超える平均流量の確保が可能であることが判明し,各要素の開発はほぼ完了した.今後,動物実験を行い,解剖学的フィッティングを包括してカニューレを開発する必要がある.
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