研究概要 |
【目的】MRIを用いて、頭蓋内のコンプライアンスまたは圧力が測定可能か検討を行った。 【対象・方法】血流ならびに脳脊髄液流は電流で,圧力は電圧で,脳実質から脳脊髄腔への圧変換は変圧器で表した電気回路モデルを考案した.健常者(13名)ならびに自作したファントムにおいて動脈と静脈および脊髄腔に直交スライスで各々の流速を測定(血流ならびに脳脊髄液流に対してVencを各々100ならびに5または10)した.MRIの撮像は、大後頭孔頚椎移行部で行い、動静脈と脊髄髄液腔に対して直行する画像が得られるように、あらかじめMRAを撮影し位置決めを行った。画像から求めた血液と髄液を電流として考え,抵抗,リアクタンス,インダクタンスを同定する逆問題を解き,頭蓋内圧と脳組織圧縮率に関する指標を推定した. 【結果】全ての実験において最小解が求められた.ファントム実験では推定圧力と実測圧力がよく一致した.健常者と脳腫瘍患者を比べた場合、脳腫瘍患者のコンプライアンスが低下していることが確認された。 【考察】電気回路において逆問題を解いたところ,それらが一定値に収束したことから,これらが頭蓋内環境を表す因子となりうることが示唆され、実際の患者で確認された。
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