研究概要 |
(方法) 12週齢日本白色家兎の肩,股,膝関節より軟骨片を採取し,トリプシン,コラゲナーゼによる酵素処理により軟骨細胞を単離した,単離した軟骨細胞をアテロコラーゲンゲルに包埋し(2.0X10^6cell/ml),10%ウシ胎児血清,抗生物質を含んだ培地を用いて3週間培養することにより軟骨様組織を作製した.作製した軟骨様組織を家兎大腿骨膝蓋溝に作製した骨軟骨損傷部に移植した.低出力超音波パルス(超音波骨折治療器SAFHS2000)を膝前面から移植部に照射(週3回,1日20分)した群を実験群とし,同様の治療を行い低出力超音波パルスを照射しない群を対照群とした.術後3ヶ月時に両群の移植部を採取し,肉眼的また組織学的に観察するとともに,II型コラーゲンに対する免疫染色を行い,また移植部の硬度をBiosensor systemを用いて測定した. (結果) 実験群にて移植部は肉眼的に軟骨様組織で修復されていた.組織学的にも修復組織はサフラニンOにて濃染する細胞外基質よりなり,免疫染色にてもII型コラーゲンが陽性であった.硬度計を用いた修復部の硬度測定では,周囲の健常軟骨と同程度の硬度を呈していた.対照群にても同様の肉眼的,組織学的所見を得ており,実験群との間に有意差は認められなかった.II型コラーゲンの染色性,移植部の硬度にも両群間に差は認めなかった.
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