研究課題/領域番号 |
14657483
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態科学系歯学(含放射線系歯学)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森田 育男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60100129)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 抗腫瘍 / 血管新生 / PEDF / タンパク分解 / VEGF / Flt-1 / 口腔平扁上皮ガン |
研究概要 |
昨年度までに、PEDFの作用調節機序には1)過酸化脂質によるPEDF遺伝子の転写抑制、2)VEGF受容体であるFlt-1を介したVEGFによるPEDF遺伝子の転写促進、など転写レベルでの調節を明らかにしたので、本年度はPEDFタンパクの分解による作用調節機序に関し検討を行った。 PEDFにGFPを融合させたタンパク質を用いて、ガン細胞、血管内皮細胞およびPEDF産生細胞である網膜色素上皮細胞を用いて、その分解タンパクをWestern blot法で調べた。その結果、PEDFのN末認識抗体、C末認識抗体、GFP抗体を用いて検討しても、外因的に添加したPEDFはどの細胞においても全く分解されないこと、および虚血等の条件に細胞をさらしても、PEDF分解は全く亢進されないことが明らかとなった。一方、Western blot法により細胞内のPEDFタンパクの挙動を調べたところ、産生されたPEDFタンパクは細胞内で分解されること、及び虚血時にその分解の亢進が認められた。また、免疫染色法により、細胞内のPEDFはアクチンと同じ局在をしていた。そこで、PEDFのN末deletion変異体を用いて、PEDFの細胞外遊離に対する影響を調べた。その結果、PEDFタンパクとは異なり、変異タンパクは細胞外へ放出されなかった。このことは細胞内でのN末分解の結果、細胞外へのPEDFタンパクの放出が抑制された可能性を示唆している。以上の結果は従来報告されていたようなPEDFタンパクの細胞外での分解がPEDFの活性調節機序である可能性は少なく、むしろPEDFの産生過程におけるPEDFタンパクの部分的分解がPEDFの作用を調節している可能性が高いことを意味している。 昨年度および本年度得られた結果を考えると、当初想定したPEDFタンパクの分解をターゲットにした抗腫瘍療法の限界性が示され、PEDFを用いた抗腫瘍療法にはPEDFの遺伝子治療が有効であることが示唆された。
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