研究分担者 |
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90281162)
田仲 持郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40171764)
入江 正郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90105594)
矢谷 博文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80174530)
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研究概要 |
緒言:内分泌撹乱化学物質の一つにビスフェノールA(BPA)があげられており,歯科治療用のレジン系材料の中にもこのBPAを骨格とした化合物(Bis-GMA,Bis-MEPP,ポリカーボネート等)が一部の成分として使用されている。そこで,BPA骨格を有する化合物を用いない歯科修復用材料の検討を行って来た過程において,アルミノシリケートとポリアクリル酸水溶液から成るグラスアイオノマーセメント(GIC)に再注目した。しかし,GICはレジン系複合材料と比較して機械的物性が劣っている。この難点の改良を目的として我々は,GICの中に球状シリカフィラーを配合して本材料の操作性と物性の双方の向上を計った。 材料および方法:粉末は,フルオロアルミノシリケートにγ-MPTS処理した球状シリカガラス(0.2〜0.3μm)を5,10および20%になるように配合した。液部は,市販のFujiII(ジーシー社)をそのまま用いた。試作材料の操作性の判断は,ISOに準じた粉液比を基本とした稠度試験から決定した。一方,物性の測定には,直径3mm,高さ6mmの試験体を作製し,24時間37℃水中浸漬後,圧縮強さを求めた。 結果および考察:GICに球状シリカガラスを配合することによって粉液比2.5の場合,稠度35mmを示して無配合の33mmに比べて操作性が向上した。同様の条件でのセメント硬化体の圧縮強さは,220Mpaとコントロールの185Mpa比して優れた結果が得られた。このことは、不定形のアルミノシリケート粒子間に0.3μmの球状シリカが入ったために流動化して稠度が高くなり,一方硬化体においては球状シリカが骨材となって機械的強さが向上したものと考えている。
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