研究概要 |
Er:YAGレーザー照射出力および照射周期の違いが歯質に及ぼす影響,レーザー照射歯質の構造と物性の変化を評価した上で,レーザー照射歯質被着面におけるセルフエッチングプライヤー接着システムの接着強さとその接着機構について検討した結果,以下のような結論を得た. 1.レーザー照射によりエナメル質および象牙質には脆弱な層(レーザースメア層)が生成される. 2.レーザー照射エナメル質の最表層は有機質およびカルシウムの減少がみとめられるものの,結晶性ならびに組成比等の化学的な変化はない. 3.レーザー照射により歯質の圧縮強さが低下した. 4.レーザー照射歯質とセルフエッチングプライマーシステムの間で良好な接着界面を形成するが,レーザーによって歯質が脆弱になるため引張り接着試験によりエナメル質あるいは象牙質の被着体破壊を引き起こす. 5.レーザー照射エナメル質においては,プライマー処理群がプライマー未処理群に比べて低い接着強さを示した.また,コントロール(プライマー処理研削群)と同等の接着強さを示したプライマー未処理レーザー照射群においても,低出力照射は熱負荷後に接着強さが低下した.よってエナメル質に対しては中間および高出力でレーザー照射し,プライマーを用いない接着操作が行われるべきである. 6.レーザー照射象牙質においては,プライマー処理群および未処理群ともにコントロール(プライマー処理研削群)と比べて低い接着強さを示した.よって,レーザー照射象牙質に特化した新規接着システムの構築が必要である.
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