研究概要 |
1.ヒト口腔扁平上皮癌細胞(B88:p53野生型)及びヒト唾液腺癌細胞(TYS:p53 codon 281^<Asp→His> ; HSG,HSY,HSG-AZA3 : p53野生型)をベスナリノンで処理すると、p21^<Waf1>,p27^<Kip1>及びRAD50のup-regulationが惹起され、一方、pAkt,cyclin D1,cyclin-dependent kinase 2のdown-regulationの生じることを、RT-PCR及びWestern blottingにより明らかにした。特に、TYS細胞においては、変異型p53のdown-regulationがベスナリノンにより惹起された。また、タキソテール(TXT)とベスナリノンとの併用により、上記の遺伝子発現制御の増強が認められた。更に、両者の併用による細胞増殖の抑制は、isobologram解析により相乗効果であることが判明した。 2.上記の癌細胞をベスナリノンで処理すると、NF-kB活性が抑制されることをelectrophoretic mobility shift assayで明らかにした。また、TXTとベスナリノンで処理すると、Bax, Bakのup-regulation,Bcl-2のdown-regulationの惹起されることを遺伝し・タンパクレベルで明らかにし、アポトーシスの誘導が検出された。 3.ヒト全血液をTXT(0.01-10μg/ml)で処理すると、IFN-γ,TNF-α,IL-6及びIL-12の産生をELISAで検出した。 4.マウス由来Ba/F細胞にマウスToll-like receptor 4及びマウスMD-2遺伝子を導入して調製したtransfectantにおいて、TXTはNF-kBの転写活性化能を上昇させることを、luciferase assayにより検証した。
|