研究概要 |
【研究目的】本研究では,岐阜大学医学部附属病院で実施されている診療行為歴(投薬・注射歴,処置・手術歴,検体・生理検査歴,画像診断歴,入院時診療計画,退院時療養計画書,転帰,予後,など)と患者情報(年齢,性別,病名(MEDISの標準病名),家族歴,既往歴,など),DPCコーディング用情報,診療報酬明細情報,医薬品・医療材料を主とする原価情報などをデータベース化する。その後,DPCコード・年齢・性別などを説明変数として診療行為内容の分析を行い,本院で実施されている診療行為内容の実態や平均像を算出する。さらに,転帰や予後情報に基づいて診療行為内容の再評価を行い,EBMに応用可能なエビデンスの導出とクリニカルパスの最適化することを目的とする。 【研究結果】患者毎に受診・入院日やその時に実施された診療行為内容(投薬・注射情報,検査結果情報,放射線画像レポート情報)と診療報酬明細情報および用いた医薬品・医療材料の種類とその原価を一元管理するデータベースが完成し,日常臨床に応用している。また,入院患者の場合にはDPCコーディング情報や退院時サマリ情報も電子的に作成し,診療行為内容と関連付けてデータベース化し,参照・分析可能な環境の整備を完了した。また,データベース化された情報は多次元分析(OLAP)可能であり,診療内容や診療報酬,原価情報などの多面的な観点から分析可能な環境整備も完了した。 OLAP分析により,DPC分類毎に在院日数や診療報酬,原価の算出と平均的な診療像を描出することができた。また(1)診療内容の観点,(2)診療報酬の観点,(3)診療提供原価の観点からの分析も可能であった。しかし,クニカルパスを最適化するためにはDPC毎の症例数が充分でなく,大規模調査での情報収集が不可欠であり,今後の課題となった。 本研究はクリニカルパスの最適化には至らなかったものの,データベースの構築と分析環境の整備により充分な成果を達成することが出来た。
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