研究課題/領域番号 |
14657610
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類遺伝学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
大野 茂男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10142027)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2002年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | mRNA / mRNA分解 / 遺伝子変異 / ナンセンス変異 / プロテインキナーゼ / 阻害剤 / コラーゲン / 筋ジストロフィー症 |
研究概要 |
遺伝子変異の1/4程度はナンセンス変異である。ナンセンス変異はトランケート型のタンパク質をコードするが、実際にはこのようなタンパク質が検出されない。これはナンセンス変異を有するmRNAが選択的に分解されていることに起因する。この現象は、nonsense mediated mRNA decay, NMDと呼ばれ、修復を逃れた遺伝子変異に由来する異常タンパク質に起因する毒性から細胞を守る、細胞の防御機構の一つである。近年、このNMDという現象やその分子機構の解析が始まっているが、そのほとんどは酵母、線虫の変異体の解析に留まっており、特に高等生物におけるその生理的意義や医学・生命科学への応用性に関しては、ほとんど不明である。私たちはプロテインキナーゼhSMG-1が、NMDに必須であること、これを阻害するとNMDを抑制できることを見いだし、ほ乳類におけるNMDの役割の検討が始めて可能となった。 本研究では、NMD阻害が、1)実際にトランケート型のタンパク質の合成を介して、機指的な分子の合成を引き起こすこと。2)NMD阻害とナンセンス抑制とを同時に起こすことにより、全長のタンパク質の合成を引き起こすこと。3)これが機能回復に至るか。の3点を検証することを目的とした。 Ullrich's病は、Type Vlcollagenのナンセンス変異により、筋ジストロフィー様の重度の症状を来す。この疾患の原因はおそらく基底膜の異常に起因し、患者由来の繊維芽細胞は、試験管内できわめてはがれやすい。この細胞にNMD阻害剤を加えると、普段合成されないトランケート型のタンパク質が実際に合成されることを確認した。さらに、ここで合成されたトランケート型のType Vlcollagen分子が、細胞と基質との接着を改善させることを確認した。少なくともこの患者の症状を改善する対処法の唯一の候補となりうることが明らかとなった(この研究は、水俣病研究センターの臼杵博士と、鹿児島大学神経内科との共同研究である)。
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