研究概要 |
本研究の目的は,「科学技術無関心族」が存在するのか,また存在するとしたら,彼らを科学技術情報に振り向かせるためにはどうすればいいのかについて予備的な検討を行うことにあったが,結果的には,その存在の手がかりを探る活動が中心となった. 本年度は,子供たちの理科学習や科学技術的活動に関するコミット度や興味関心を指標にして「科学技術無関心族」問題に取り組んだ.具体的には,ノルウェー・オスロ大学が中心になって企画し実施している国際比較調査(The Relevance of Science Education (ROSE))に参加し,日本のデータ収集を行い,その分析作業を実施してきた.世界的に共通のフォーマットで行う調査であるため,日本の子供たちの特性が相対的に見やすくなるためである. 現在,その予備的分析作業を実施しているところであるが,この調査結果から,日本の子供たちには,理科-の好き嫌い・興味関心に関して,ほぼ同数からなる三つのグループが存在することがわかった.一つは,「理科に興味関心があり,他教科より理科が好きな子供たち」,今一つは,「理科に興味関心がなく,また理科も好きではない子供たち」,そして今回新しくその存在を発見した「理科に興味関心はあるが,他にもっと好きな教科がある子供たち」である. 第一のグループのみが「理科好き」な子だと考えると,残りの三分の二が「理科嫌い」というラベルを貼られるが,第三のグループは単純に「理科嫌い」とはいえないだろう.「科学技術無関心族」の存在とその特性については現在解析中で,研究成果は2004年7月末にポーランドで開催される第11回IOSTE国際シンポジウムで発表することになっている.
|