本研究は、読み聞かせボランティアの意義や効用および弊害の研究を今後進めていくために、基礎的な知見を得るための、調査研究であった。このような地道な調査はあまり行われていないため、本研究は重要な統計資料となったといえよう。調査の方法及び結果は以下の通りである。 1.調査の方法 往復葉書によるアンケート調査。平成14年11月30日に、全国公立私立の小中学校全4949校に、往復葉書を送付した。平成14年2月20日までに返信された2614校のうち、転居先不明及び休校中21校を除く2593校から、読み聞かせボランティアの実態についての回答を得た。 2.調査の結果 読者数の多い学会誌(日本国語教育学会『月刊国語教育研究』、「研究」枠)に投稿した。その要点を示す。 (1)実施率 読み聞かせボランティアを本年度行っている学校は48.0%、行っていない学校は49.9%、残りが行っていたがやめたか、今後行うつもりであるということであった。しかし、内訳をみると小学校が64.0%であり、中学校はわずかに7.5%であった。 (2)増加率 何年前からボランティアを行っているかを調査したところ、5年前から今年度まで順に、8.2%、12.9%、12.4%、20.9%、20.6%となっており、年々順調に実施校が増加してきたことが明らかになった。 (3)主体 読み聞かせボランティアの主体は、在校生保護者が62.1%と最も多く、ついで地域住民、卒業生保護者となった。しかし、中にはサークル組織となっているものも見られた。ボランティアに使う本の出所については、ボランティアの私物がもっとも多く(86.1%)、選書についてもボランティア自身が行っている割合が73.1%と最も高かった。 (4)評価 読み聞かせボランティアの増加を「よい傾向」ととらえている学校は、全体の91.8%に上った。
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