研究概要 |
入力依存の専用回路を用いた高速問題解決の一般的手法を確立するために,本研究では次の3つを行い,実用化を目指した。(1)個別問題に対する入力依存の専用回路の設計と評価、(2)個別問題に対する前処理時間の短縮化、および(3)入力依存専用回路のメタプログラミングツールの開発 個別問題に対して,入力依存の専用回路による計算の高速化の理論的解析を行うとともに,実際にFPGAを用いて専用回路の性能測定を行い,その有効性を検証を行った.個別問題として,画像検索だけでなく,組み合わせ最適化なども対象にした.また,FPGAを用いた性能評価のために,専用回路生成ソフトウェアと専用回路制御用ソフトウェアも開発した. 最初の2年間で入力依存の専用回路を用いた高速問題解決に対する基本的な考え方を確立し、その考え方に基づいて幾つかの個別問題に対する専用回路の開発に取り組んできた。たとえば、専用回路化することにより純粋にソフトウェアで実現する場合よりも約1000倍の高速化を達成することなどができた.この結果は国際会議でも発表した.また、組み合わせ最適化問題にも同じ考え方を適用し、一定の成果を得ることができた。このように回路の構成に関して一定の成果を達成することができたが、将来の発展を考慮して新たな研究分野の開拓も行った。それは、計算幾何学の理論を画像処理の分野に応用することである。画像処理では雑音を如何に除去するかが問題であるが、これに対して計算幾何学のデータ構造に基づいた効率の良いモーフォロジカルオペレータを開発することに成功し、現在産業界で注目を集めている指紋同定に役立てようとしている。他にも距離変換の技法も非常に効果的であることが判明した。モーフォロジカルオペレータと距離変換は現在はまだソフト的に実現しているが、これを入力依存の考え方に基づいて回路設計することが今後の課題である。
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