研究概要 |
本研究は実時間,或いは短期間で生体信号から使用者の習熟度と理解度を自動解析し,それに応じる訓練,教育プランや感覚フィードバックを自動に決定するメカニズムを提案し,互いに適応する使用者と機械の相互作用による形成される人工空間を自律的に向上させる方法論を模索するものであり,使用者個人の運動能力を最大限に発揮できるマンマシンインタフェースの実現を目的とする. 生体信号を用いて,使用者の習熟度と理解度を解析するには,個体差のみならず知覚などの運動以外の非常に多くの電位が重畳された状態の複雑な波形として現れるため,これまでの技術ではこれを有効に活用することが困難であった.本年度の研究実施によって,以下の通りの成果が得られた. 前年度の研究より確立した実験系を利用し,異なる条件でまた異なる個人によって,リーチングタスクの訓練実験を行った.取得した実験データをすでに確立した条件つきエントロピーに基づく評価手法を用い,分析を行い,運動習熟過程の定量化を試みた.運動タスクのパフォーマンス評価を参考系とする場合,訓練の初期と後期において,提案した運動習熟度とパフォーマンス評価は同様な変化傾向が見られるが,訓練中期においては,個人差によって,いろいろな変化パターンが存在していることが分かった. その評価手法を用いて,使用者と装置が相互に適応しあう学習システムにおいても,装置側の学習が使用者の習熟度合いに応じて,調整可能な仕組みを提案し,その仕組みの上腕義手,歩行の機能的電気刺激補助への臨床応用によって,相互システムにおける効率向上の可能性を示した.
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