研究概要 |
これまでの実験によりマイクロ波励起マイクロギャップ放電により大気圧領域の高圧プラズマが連続的に安定に生成できることが示され,Xe/Hb及びAr/He混合ガス放電によりXe_2及びAr_2の真空紫外エキシマー発光が確認された。しかし,エキシマー発光のマイクロ波電力依存性は弱く,プラズマ中のガス温度上昇によるガス密度低下が3体衝突によるエキシマー生成の効率を下げていると推測され,プラズマ中のガス温度を下げることが強いエキシマー発光のために必要であるとの指針を得た。 マイクロギャッププラズマや中の電子温度・電子密度が空間分解測定できる,高空間分解トムソン散乱計測法を確立した。これにより大気中放電(100W)において,プラズマ中心部の電子密度がエキシマーレーザー励起放電と同じオーダーの1.8×10^<15>cm^<-3>に達し,電子温度が1.2eVであることが分かった。Heをベースとする放電(5%N_2混合)では電子密度が低下するが,より高い電子温度1.5eVが得られることが分かった。 プラズマ中のガス温度を低下させるため,ガスフローがガス温度に与える影響をN_2分子の発光分光による回転温度計測により調べた。He/N_2(5%)放電(1気圧,100W)において,大気中でガスボンベからガスを直接マイクロギャップへ供給する実験系では,0から10l/minへのガス流量増加に対しガス温度は1200Kから900Kまで低下した。しかし,放電装置をチャンバに封入し,ガス循環ポンプを用いてガスフローをマイクロギャップに導入した系ではガス温度は流量とともに逆に増加した。従って,循環ガスや放電電極の効果的な冷却系を導入することが低ガス温度を得るのに必須であることが分かった。連続発振エキシマーレーザーの可能性について結論を得るためには,低ガス温度低下のための十分な対策を施した実験系による測定結果を待つ必要がある。
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