研究課題/領域番号 |
14658149
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
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研究分担者 |
持田 陸宏 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10333642)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | エアロゾル表面 / 光化学反応 / 粒子のサイズ分布 / DMA / α-ピネン / ピノン酸 / 有機エアロゾル / グリオギザール酸 / 人工粒子の生成装置 / キャニスター・ガスクロマトグラフ法 / ピネン |
研究概要 |
今年度は、有機エアロゾルの生成過程を森林観測にて研究した。 苫小牧フラックスサイト(人工カラマツ林)において、有機エアロゾルの前駆体である揮発性有機物(VOC)としてイソプレン、α-ピネンを、またその酸化生成物である半揮発性有機物(SVOC)としてグリコールアルデヒド、ヒドロキシアセトン、グリオギザール、メチルグリオギザールを測定した。その濃度の時間変化の結果から、植物起源のイソプレン・ピネンが光化学的に酸化され、含酸素の極性有機物が新たに生成していることが確認された。これらSVOCは一部がガス相に一部がエアロゾルとして存在することが示された。この結果は、森林においてVOCからSVOCや有機エアロゾルの生成が起こっていることを示唆している。 また、湿度が増加する夜間から朝方かけて、グリオギザールなど極生有機物の粒子/(ガス+粒子)比が増加する傾向にあることが観測された。この結果は、森林起源の有機エアロゾルが凝結核として作用している可能性を示している。同時に、エアロゾル試料中に極性有機物を検索し、シュウ酸などの低分子ジカルボン酸やピノン酸を測定した。しかし、硫酸イオンなど無機成分の解析の結果、これらの一部は森林外からもたらされた可能性が示唆された。 本観測において、タンデムDMAを用いて粒子の粒径分布を測定した。その結果、湿度が増加する夜間から朝にかけて粒子の成長が観測された。本研究の結果は、有機エアロゾルとその前駆体の昼間に生成すること、それらの一部は夜間にエアロゾルを生成し、あるいは水蒸気を吸収し大型粒子への成長過程で重要な役割を果たすものと考察された。 今後、森林大気で起こっていると予想される大気過程を想定した室内実験環境を本研究で作成した光化学反応チャンバーで作り、エアロゾルの生成と成長の過程を化合物レベルで明らかにしていく予定である。
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