研究概要 |
1.エチレン非感受性タバコ遺伝子組換え体のN・P吸収特性の解析 前年度に一次選抜した,高P吸収量特性を示す変異エチレンレセプター遺伝子(mNT-ERS1)導入タバコ(Nicotiana tabacum cv.Ky57)系統(No.14-12,-14)の特性を再評価した。6〜7葉期の幼植物を,550mlの培地(MS培地にPO^<-4>を添加して1mMにしたもの)で連続明条件下8日間水耕栽培し,NO_3-N,NH_4-NとPO_4-の吸収量を測定した。 結果:NO_3-N,NH_4-NとPO_4-の吸収量は,対照(Ky57)では17.7±3.4,3.86±0.47,1.51±0.16mg gFW^<-1>,No.14-14系統では20.4±2.8,4.31±0.52,1.57±0.16mg gFW^<-1>で,組換え系統はP・Nの吸収量の上昇傾向は有意な差でなかった。塩ストレス(50,100mM NaCl添加)下におけるP・Nの吸収量にも,Ky57とNo.14-14系統の間で有意な差がなかった。結論:エチレン非感受性形質転換系統から高P・N吸収能を獲得した系統を選抜することはできなかった。 2.水耕栽培適性付与遺伝子の水生植物からの検索 非常に強い嫌気耐性を示す水生単子葉植物ヒルムシロ(Potamogeton distinctus)の殖芽で,無酸素条件で発現する遺伝子群から嫌気的ストレス耐性付与遺伝子を探索した。 結果:1)sucrose synthase遺伝子PdSUS1の,嫌気条件下のエネルギー代謝への関与を明らかにした。2)無酸素中で発現する65種の遺伝子群を単離して機能を推定した。(7th International Society for Plant Anaerobiosis,20-25 Sep.2004,Perthで発表,Annals of Botanyに論文発表) 3.タバコへの遺伝子導入 1)アグロバクテリウムによる,ヒルムシロ由来遺伝子の導入を開始した。2)タバコ培養細胞BY-2への導入を目指し,嫌気耐性の評価法を検討した。3)SAG12::IPT遺伝子を導入した環境ストレス耐性タバコの作出を開始した。
|