研究概要 |
昨年度にテーマ1,RNAナノ構造体の創製、テーマ2,RNA-タンパク質ハイブリッド構造体の創製、テーマ3,RNAナノ構造体の人工的構築およびテーマ4,RNA構造体上での分子認識ユニットの構築、それぞれのテーマについて成果を挙げ、本年度はテーマ4、に集中的に取り組み研究を進めた。 昨年度「天然の分子骨格をもつ新しいリボザイム」の設計・作成をおこなった。in vitroセレクションの条件を設定し、RNAリガーゼ活性を有するRNAを単離精製後、それに含まれる新しい分子認識ユニットである触媒部位の塩基配列を決定した。また、分子デザイン通りに、RNA ligation反応が進行することをあきらかにした。今年度は、この反応が天然の3'-5'リンケージを持つRNA結合の形成をすること、また、分子エンジニアリングを進めてRNAを触媒ユニットと基質ユニットの二つのユニットに物理的に分割して、反応を再構成することが出来た。 今年度は、さらに、テーマ3「RNAナノ構造体の人工的構築」によりつくられた人工のRNAを骨格として、新規にセレクションのための分子デザインを行い、ついでセレクションを実行し、新しいRNAリガーゼ活性をもつ人工RNAを単離精製できた。また、それに含まれる分子認識ユニットである触媒部位の塩基配列を決定した。このRNAについても、デザイン通りに選択された分子認識ユニットの働きにより、RNA ligation反応が進行することをあきらかにした。反応が天然の3'-5'リンケージを持つRNA結合の形成をすることをつきとめ、また、さらに分子エンジニアリングを進め、RNA分子を触媒ユニットと基質ユニットの二つのユニットに物理的に分割、反応を再構成することが出来た。この系では、反応が最終的に80%以上の高効率で進むことがわかった。以上の結果から、この分子エンジニアリング新手法の実用性が確認できた。
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