研究課題/領域番号 |
14658200
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加香 孝一郎 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (60311594)
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研究分担者 |
宗像 英輔 聖徳大学, 人文学部, 教授 (60072766)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 重金属代謝 / 細胞内輸送 / 銅シャペロン / Cox17p / メタロチオネイン / シトクロム酸化酵素 / 遺伝子破壊マウス |
研究概要 |
生体内において様々な酸化還元酵素の補因子として機能している銅は、生物にとって必須の元素であるが、銅の細胞内における過剰蓄積は非常に有害である。したがって、生体内の銅イオン濃度は厳密に調節される必要がある。実際細胞内に過剰に銅イオンが流入すると、金属スカベンジャーとして知られるメタロチオネインの発現が誘導され、これを無毒化する。新規銅シャペロンCox17pは、酵母において銅イオンを細胞質から、ミトコンドリア内膜上に存在する呼吸鎖の最終酵素チトクロム酸化酵素(CCO)へ輸送する機能が推定されている。 我々はこのCOX17遺伝子破壊マウスの作成を試みたところ胚性致死であったが、COX17遺伝子欠失をホモに持つ個体は、胎生6.5日の段階で著しいCCO活性の低下が観察され、それ以降胚は縮退し胎生10.5日前後に完全に消失した。このように、Cox17pをはじめとする銅シャペロンは、哺乳動物においても銅イオンを結合し輸送すると考えられるが、同じ金属結合タンパクであるメタロチオネインとの関係はしかし未だ明かではない。そこで両ペプチドの生理的役割の違いを明らかにする目的で、両者の生化学的性質並びに各種金属に対するそれぞれの遺伝子の発現応答性を調べた。その結果、Cox17pはin vitroで単離ミトコンドリア画分中のCCOの活性を上昇させたが、反対にメタロチオネインは活性を有意に抑制した。さらに培養細胞において重金属の投与はメタロチオネインのmRNAを一過的に上昇させるのに対し、Cox17p mRNAの発現はZn、Cdには無応答であったのに対しCuの添加で発現量が約50%低下した。更に興味深いことに、メタロチオネインは細胞内の重金属濃度を下げると有意に基礎レベルの発現が低下するのに対し、Cox17p mRNAは培地中のCu濃度を下げた時のみ、若干発現量が上昇した。このことは、メタロチオネインのみならず、Cox17pの発現量も細胞内銅イオン濃度により制御される可能性を示唆する。これらの結果から、Cox17pとメタロチオネインは細胞質-ミトコンドリア間の銅の恒常性維持に相互に深く関与していることが考えられた。
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