研究概要 |
メチルβシクロデキストリン(MCD)やクロモサポニン(CSI)といつた特殊な構造をした両親媒性物質によって膜表在性蛋白質が選択的に可溶化されという発見から,本研究計画の実施に至った.その結果、(1)薬剤が脂質修飾膜蛋白質を可溶化する分子メカニズムは,蛋白質の脂質修飾部位への直接的な結合による可能性が示唆された.(2)MCDで可溶化された脂質修飾膜蛋白質は安定化されており,これまで不可能とされたカエル視細胞外節膜のcGMP加水分解酵素(PDE6)の活性型と不活性型両方の可溶化と精製に成功した.(3)不活性型トランスデューシンの精製にも成功し,これをBlue-Sepharoseにかけることで,Tα及びTβγを簡単にほぼ単一にまで精製できた.(4)ファルネシル基で修飾されているロドプシンキナーゼについても視細胞外節膜MCD抽出物から陽イオン交換カラムで100%の精製物が得らた.上記のいずれの蛋白質精製においても回収率は80%を越えている.(5)MCDによるトランスデューシンやPDE6の可溶化の度合はこれら蛋白質と膜との相互作用を反映しており,暗黒中ではいずれもK_<1/2>が約2mM MCDであつたが,光照射でトランスデューシンは不溶となった.また,PDE6はGTPgSと光による恒常的活性化によってK_<1/2>が5mMに増加した.これらの知見は信号系蛋白質と膜との相互作用の理解に大きく貢献する.CSIについてはMCDより一桁ほど低濃度で有効であること,トランスデューシンと光退色ロドプシンとの相互作用にも影響を与えることなどが判明しているがまだ検討が進んでいない. PIらは以上の成果を活用して,活性型PDE6を蛍光標識した阻害サブユニットと再構成することにも成功し、生きた視細胞円板膜上でのPDE6の一分子観察を計画している。また,MCDによる信号系蛋白質の選択的可溶化と蛋白質精製への利用については論文執筆中である.
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