研究概要 |
pDsRed-MitoをHeLa細胞にトランスフェクションし,各細胞周期におけるミトコンドリアの形態を共焦点レーザー蛍光顕微鏡により観察し、その3次構造からミトコンドリア量を定量した. その結果,M期で特にダイナミックにミトコンドリアの形態を変化させ2つの娘細胞に分配させていくことが明らかとなった.また,early G2とlate G2の区別はリン酸化ヒストンが点状に染まっているかどうかを基準に行ったが,ミトコンドリアの増生が細胞周期のS期〜G2期にかけて周期特異的に行われることを示唆している.しかもちょうど2倍くらいに増えるように調節される機構が存在することも示唆され,非常に興味深い. PCR-Select SubtractionによりJVSマウス及び対照マウス(c57BL/6J)の心臓間でmRNA発現量に差のある遺伝子を1186clone単離した.発現量の差が特に大きかった,56cloneについてシークエンスを行い,BLASTによりホモロジー検索を行った.その結果,23cloneが既知の遺伝子,15cloneが未知の遺伝子であった.今回のシークエンス結果から,JVSマウスの心臓においてup-regulateしている遺伝子にはribosomal proteinやストレス応答因子が多く含まれていることが分かった.このことから,JVSマウスでは,カルニチン欠乏により脂肪酸代謝障害が起きておりこれが刺激(ストレス)となってこれらの遺伝子が増加したとも考えられる.これらはJVSマウスの心臓におけるミトコンドリアの増生(ミトコンドリアタンパク質の増加)にも関っている可能性があり,大変興味深い.
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