研究課題/領域番号 |
14658214
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 知彦 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30183742)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 中間径線維 / 蛍光標識 / 共焦点顕微鏡 |
研究概要 |
大腸菌内でビメンチン(中間径線維の代表的なサブユニット)を大量発現させる系を確立し、これを用いて精製したビメンチンのアミノ基に対してX-ローダミンで蛍光標識をおこない、1分子あたり1分子の修飾に成功した。この蛍光ビメンチンの重合・脱重合を蛍光顕微鏡を用いて観察した。 (1)様々な濃度のビメンチンと塩溶液をスライドガラス上で混合後、封入条件下で一定時間後に繊維状構造が形成されるかを観察した。0.2mg/ml以上の濃度で30分以上置くと、線維が束になった構造が観察された。4℃で一昼夜放置した場合には、全長が1mmにも及ぶような三次元ネットワークが見られた。この巨大な三次元ネットワークは微分干渉顕微鏡でも観察可能であり、未標識のビメンチンでも同様の構造が形成された。このことから、これらの大きな構造体は蛍光標識によって変性したビメンチンが非特異的に凝集してできたものではなく、ビメンチンの重合能を反映した構造体ということが出来る。 (2)簡易型のフローチェンバーを用いて、重合反応開始時からの線維形成を観察した。大量に存在する未重合ビメンチンの蛍光がコントラストを下げるため、通常の蛍光顕微鏡では線維の形成の観察は困難であったので、共焦点顕微鏡を用いて観察を行った。塩溶液と接触後1分以内に、界面付近に多数の長さ5-10μm程度の細い線維状構造が観察された。この線維は暗視野顕微鏡では観察できなかったことから、少なくとも微小管よりは細い、おそらく1本の中間径線維であるものと思われる。(1)で観察された構造物はこの線維が多数束になった構造であるものと考えられるが、現時点ではフローチェンバーでは大きな構造物の形成は観察できていない。この線維も(1)の構造物も、ともに8M尿素で消失する様子が観察できたことから、生化学的な条件で脱重合可能な線維の形成に顕微鏡下で成功したということができる。
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