研究概要 |
神経系組織で高度な発現が認められる新規タンパク質であるNP25について,3D-FRETシステムを用いて蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の解析を行った。本タンパク質は,筋肉系組織に特異的に存在するCalponinやSM22等のタンパク質に対して著しく高いアミノ酸配列の相同性を示すことから,これらのタンパク質と類似の機能が予想された。CalponinやSM22については既に多くの報告がなされており,アクチンとの相互作用が明らかにされている。そこで,NP25とアクチンの結合について検討した。FRET測定にはNP25の蛍光免疫染色によるImmuno-FRET法を新たに導入し,donorとしてAlexa488,acceptorとしてRhodamineを使用した。またFRET効率の推定には,acceptor photobleaching法を用いた。Neuroblastoma cell lineであるSK-N-SH細胞をNP25抗体+Alexa 488二次抗体で染色後,アクチンは,rhodamine-phalloidinで染色した。この細胞について,acceptor photobleachingによるImmuno-FRET法を適用すると,アクチンとNP25の結合を示す高いFRET効率が細胞内のストレスファイバー上で検出された。このことは,NP25が細胞内で実際にアクチン繊維と結合していることを示している。また,PC-12細胞を用いた観察から,NGFによって誘導される神経突起の形成に伴いNP25の発現量が増加することが明らかとなった。これらの結果は,神経突起の伸長に必須名アクチン繊維の構築にNP25が関与していることを示唆する。
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