研究概要 |
申請者は、2002年5月及び8月に、発育期のラット骨格筋間質にサテライト細胞とは性格を異にする未分化な細胞群が存在し、筋線維の増殖に深く関係していること(Tamaki et al., JHC, 2002)。さらに、マウス骨格筋より同様の細胞を抽出・分離・精製することに成功し、その分化能を検討した結果、この細胞が筋細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞へと分化する能力を有する幹細胞であることを培養系及び細胞移植により確認し、発表した(Tamaki et al., JCB, 2002)。この細胞は基本的に細胞表面抗体CD34陽性でCD45陰性を示しSk-34細胞と銘々した。本研究では同様にマウス骨格筋を処理することで得られたSk-34細胞とCD34陰性CD45陰性の細胞(Sk-DN)に注目し、神経系細胞への分化・誘導を試みた。Sk-DN細胞は、神経系細胞への分化誘導因子として注目されているサイトカインbFGFとEGFを添加したコラーゲンゲルを用いた三次元培養系で、神経細胞様の形態を示す細胞群(コロニー)を形成した。これらの細胞はコラーゲンゲル内で3次元的にネットワークを形成し、プレート上に這う細胞はごくわずかであった。しかし、コラーゲンゲルを取り省いた後にわずかにプレート上に残った細胞は神経細胞特異的抗体map-2陽性を示し、神経系細胞への分化が確認された。コラーゲンゲル中でネットワークを形成している細胞群はその立体構築を保った状態で電子顕微鏡試料とし、その形態を検討中である。現在、これらの細胞を同系マウスに移植し、生体内での分化能について更に検討している。
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