研究課題/領域番号 |
14658262
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
児島 将康 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
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研究分担者 |
村上 昇 宮崎大学, 農学部, 教授 (80150192)
西 芳寛 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (20352122)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | ニューロメジンU / サーカディアン・リズム / 位相変位 / 肥満 / 過食 / 高脂血症 / 高血糖 / 神経ペプチド / 生体リズム / 摂食調節 |
研究概要 |
ニューロメジンU (NMU)はオーファン受容体FM3の内因性リガンドであり、摂食抑制作用およびストレス反応を調節する神経ペプチドである。われわれはNMUが視交叉上核に存在し、生体のサーカディアン・リズムに関与することを見いだした。本研究ではNMUの生理機能を探るために、NMUのサーカディアン・リズムに関する作用を調べるとともに、NMUノックアウト・マウスを作製し、その表現型を解析した。 (1)NMUの脳室内投与によって、サーカディアン・リズムの位相が変化した。この位相変位は、NMUを主観的昼に投与した時にのみ見られ、主観的夜には作用しなかった。 (2)NMUの位相変位は投与したNMUの容量依存的な反応であった。すなわち、NMUを多く投与するほど、位相の変化は大きかった。 (3)NMU脳室内投与によって、時計遺伝子のPer1や転写因子のc-fos, c-Junなどの発現が誘導された。これらの遺伝子は主観的夜の光照射によっても誘導される。このことはNMUと光とは作用時間が異なるだけで、視交叉上核での遺伝子発現変化は同じであることを示している。つまりNMUと光とは位相変位をおこすメカニズムは同一で、作用時間のみが異なっていると推定された。 (4)NMUノックアウト・マウス(NMU-KO)は致死性でなく、正常に成長し、不妊でもなかった。 (5)NMU-KOは生後1ヶ月くらいすると体重増加が明らかになり、体脂肪率が著しく上昇し、脂肪組織増大と脂肪肝をて呈した。 (6)NMU-KOは過食、摂食リズム異常、自発活動量低下、エネルギー代謝低下などがみられた。その結果、肥満、高脂血症、高血糖症、高インスリン血症などになると考えられる。 (7)レプチン投与はNMU欠損マウスに対して有効で、NMU-KOの体重は減少した。 このように、NMU-KOはリズム異常、過食、運動量低下、エネルギー代謝低下などを示し、ヒト成人の生活習慣病の症状によく似通った表現型を示す。このNMU-KOは生活習慣病のよいモデル動物であると考えられた。
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