研究課題/領域番号 |
14658265
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田中 綾子 (安島 綾子) 独立行政法人理化学研究所, 視覚神経回路モデル研究チーム, 専門職研究員 (10312232)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 抑制性神経 / 大脳皮質 / 神経回路網 / ラット / 頬髯 / 体性感覚野 / 脳スライス / 電気生理学 / 抑制性神経回路 / バレル皮質 / GABA_A受容体 / GABA_B受容体 / 空間的非対称性 / ユニークなスライス |
研究概要 |
高次脳機能における抑制性神経回路網の機能を明らかにするためには、その機能的な分布を調べる必要がある。ラット頬髯の体性感覚野(バレル皮質)は、空間的配置を保ちながら頬髯から皮質4層の神経細胞郡(バレル)に1対1に信号が送られており、脳スライス上でバレル構造が可視化できるため、電気生理学的に機能分布を調べるのに非常に適している。ラットが外界探索を行う時に髭を動かす方向が髭列方向であること、以前申請者らが行った個体レベルでの神経活動のイメージングの結果などを考慮すると、バレル皮質内での神経回路網は2/3層では髭列に沿った方向の結合が強いと推測された。頬髯からの信号は、1対1で大脳皮質4層に入力されるため、初段の情報処理が行われる2/3層での抑制性神経回路の役割は非常に重要である。抑制性神経細胞からのGABA放出は、GABA_A及びGABA_B受容体に結合し、長短異なる時間の抑制をもたらす。申請者のユニークなスライス作成法を用いると、髭列に対応したバレル列方向とそれに垂直方向のスライスとを切り分けることができる。この脳スライスを用いて、2/3層の錐体細胞における水平方向の抑制の機能的な分布を調べた。その結果バレル皮質2/3層のGABA_A受容体を介した抑制は、興奮性神経細胞の周辺に狭い範囲で、髭列方向と関係なく存在していた。一方GABA_B受容体を介した抑制は、バレル列に沿った方向に長く伸びていることが明らかになり、興奮性神経回路と同様な機能分布を示した。皮質2/3層水平結合におけるGABA_A及びGABA_B受容体を介した抑制性神経回路の機能分布が異なることは、高次脳機能における両者の抑制が異なった役割を担っていることを示唆しており、今後これら回路網の空間的特徴を手がかりに、機能的な役割について研究を進めていく予定である(現在投稿中)。
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