研究概要 |
ラット凍結精子からの個体作製の効率化を目的として凍結保存液および凍結方法の改良を行った。凍結精子の作製には、Long-EvansおよびF344/Jcl雄ラットより採取した精巣上体尾部精子を用いた。採取した精巣上体尾部を室温下で凍結用保存液[Lacrose 8%(v/v),Egg yolk 23%(v/v),Dibekacin 10mg/100ml,0.7%Equex Stm,10%Tris溶液でpH7.4に調製、12,000rpm 15minの遠心処理後、0.22μmのフィルターでろ過滅菌したもの]中で細切した。その後、5℃に15分間冷却し、プラスチェックストローに充填し、液体窒素液面上に10分間放置後、液体窒素中に浸漬した(実験区)。なお、Nakatsukasaらの方法(Reproduction,2001)で凍結保存したものを対照区とした。凍結精液の融解は、37℃の温水中に凍結ストローを10秒間浸漬することにより行なった。融解した精子は、希釈後、偽妊娠を誘起したWistar系雌ラットの左右の子宮角上部に注入することにより、人工授精を行なった。また、凍結保存液は褐色アンプル管に保存し、長期保存が可能であるかどうか検討した。実験区では対照区と比較して、妊娠率および産子への発生率に有意な増加が確認された。また、1ヶ月間アンプル管に保存した凍結保存液を用いた凍結精子を子宮内に注入することにより、正常な産子が得られることが確認された。以上、本実験により、改良した保存液でのラット精子の凍結は可能であり、凍結保存液のアンプル管での長期保存も可能であることが示唆された。
|