研究課題
若手研究(A)
最終年度としてペロブスカイト型量子常誘電性酸化物において誘電測定で得られた電場印加紫外光照射下の光・電場誘起協力現象の物理的機構解明を行うため光・電場誘起状態の構造変化とそれに伴ったフォノンダイナミクスの変化に注目し研究を行った。光・電場誘起効果は量子常誘電性を示すSrTi^<16>O_3で顕著である一方酸素^<16>Oを酸素^<18>Oで同位体置換した強誘電体SrTi^<18>O_3ではその効果が消失する(前年度までの研究成果)ことから、この同位体効果の解明が本・光電場誘起協力現象機構解明の手掛かりになると考えた。そこで先ず従来の研究で既に解明されている量子常誘電体SrTi^<16>O_3と未解明にある強誘電体SrTi^<18>O_3のフォノンダイナミクスがどのように違うかを明らかにするため広帯域高分解能分光器と高安定クライオスタットを組合せて超低振動数ラマン散乱実験を行った。その結果、SrTi^<18>O_3低振動数フォノンにはSrTi^<16>O_3とは全く異なる完全に音響フォノン領域までソフト化するような驚くべきソフトモードが存在することを発見することに成功した。SrTi^<18>O_3で観測されたソフトモードの振る舞いは従来のどの物質とも異なり、フォノンが振動を保ったまま転移点までソフト化を示しまさに理想的な変移型強誘電性相転移を示すことを明らかにした。この様に両物質間で顕著にフォノンの振る舞いが異なることから光・電場誘起協力現象はバイブロニック相互作用が重要な働きをしていると考えられる。さらに紫外光励起状態のSrTi^<16>O_3で音響フォノンを観測した結果、極低温領域で紫外光照射と電場印加で全く新しい光誘起構造相転移が出現することを発見し、本光電場誘起協力現象が光誘起構造相転移に伴った臨界現象に起因することを解明した。本研究成果はこれまでにない全く新しい量子光誘起協力現象の研究分野の開拓に成功したと言える。
すべて 2005 2004 その他
すべて 雑誌論文 (8件) 文献書誌 (9件)
J.Korean Phys.Soc. 46
ページ: 195-197
ページ: 190-191
固体物理 40・2
ページ: 113-120
40006606495
J.Phys.Soc.Jpn. 73・12
ページ: 3262-3265
J.Phys.Soc.Jpn. 73・7
ページ: 1635-1638
Ferroelectrics 298
ページ: 317-323
ページ: 141-143
Journal of Microlithography, Microfabrication and Microsystems 3
ページ: 358-363