配分額 *注記 |
28,340千円 (直接経費: 21,800千円、間接経費: 6,540千円)
2003年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2002年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
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研究概要 |
現在の時間標準であるセシウム原子のマイクロ波遷移を基準とした光周波数のコヒーレント計測技術が確立した結果,時計遷移周波数が5桁高く,より高い安定度が期待できる光領域の時間標準の実現や,それらの原子時計の時間揺らぎの評価が,現実的な意義をもつようになった。本研究は,従来の単一イオントラップ光周波数標準と中性原子光周波数標準の特長を同時に実現可能な「光格子時計」のアイディアを提案・実証することを目的とした。 光格子中にトラップされた中性原子を用いる「光格子時計」手法では,単一イオントラップ光周波数標準の特徴である(1)ラム・ディッケ束縛によるドップラーシフトの除去,(2)原子間衝突の除去,を(3)光シフトを相殺した光格子にトラップした約100万個の中性原子によって実現する。これによって,イオントラップ周波数標準のもつ高い周波数確度を維持しつつ,およそ3桁の安定度向上を狙う。この提案の鍵を握る「光シフト相殺手法」の検証のため,ストロンチウム原子のフェルミ同位体^<87>Srの^1S_0-^3P_0禁制遷移(遷移周波数698nm、線幅1mHz)を用いた理論計算を行ない,1秒で10^<-18>の安定度・確度を達成可能なことを,明らかにした。 「光格子時計」の実証のため,レーザー冷却を施した^<87>Srを1次元光格子に捕獲し,時計遷移励起光に対してラム・ディッケ束縛条件を満たした上で,これに対する分光実験を行った。この結果,光格子レーザー波長を813.5nmとすることで光シフトの相殺が可能となることを示し,このとき励起レーザー線幅で制限される(ドップラーフリーな)500Hzの時計遷移の観測に成功した。
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