研究課題
若手研究(A)
本研究は、金星大気ダイナミクスの解明をめざして、金星大気・雲構造の観測を行うために、1-5μm帯に感度をもつ近赤外イメージングカメラを新規開発することを目的としている。平成16年度は、本研究費の3年目で最終年度にあたる。本研究では、近赤外観測器技術を習得するために、近赤外イメージングカメラの設計・開発を可能な限り自ら行ってきた。具体的には、前年度までにカメラの光学設計、センサ購入、熱構造設計に加えて、カメラケースを製作が途中まで進められた。平成16年度は、第一にその製作を引き続き行い、カメラケースを完成させた。特に、30Kの冷却を達成するため、内部を真空デュワー構造とし、そこへ天文用塗料をもちいて内部を黒色塗装した。完成したカメラケースは、真空ポンプとヘリウム冷凍機を用いた熱真空試験において、リークがないこと、ならびに要求温度(センサ部分が30K、フィルター・ラジエーションシールド部分が90K)が達成されることを実験的に確認した。また低温真空下での性能を保証するため、光学レンズの単体冷却試験を実施し、50Kまで冷却しても光学レンズの性能劣化がないことを確認した。次に、電気計装部品を製作し、電気回路系の試験を行った。この試験で電気回路系の正常動作は確認できたものの、センサ破損が発生した。この原因を検討し、センサ押さえ構造の問題箇所を明らかにし、その部分の改良を施すとともに、破損したセンサの代替品を購入した。さらに、カメラ光学系のアライメント調整を実施した。上記の開発と試験により、カメラはほぼ完成に至ることができ、かつ近赤外観測器技術を習得できた。