研究課題
若手研究(A)
近年、カーボンナノチューブのようなナノ構造を有する物質は様々な特性を有し、将来、電子デバイス、エネルギー変換素子、機能性材料など多くの分野での応用が期待されている。本研究では、マイクロマシニング技術を利用してナノ構造合成装置を開発する。このナノ物質合成装置は、In-Situ観察しながら成長させることで、狙った構璋を作製することを目的とする。マイクロマシニングで作製したナノ物質合成装置は、電界等を制御することで、所望の位置にナノ構造を生成できると期待される。作製したナノ構造をもつ物質を一つだけ取り出してその電気特定や物性を測定する。この測定のために、これまで開発してきたマイクロマシニング技術を応用して作製した高感度センサを利用すると同時にこのセンシング技術を発展させる。また、ナノの世界を見て操るための様々なツールを開発する。電子顕微鏡内でナノマニピュレーターを利用してこの振動子の上にナノ構造体を載せ、外部から様々な刺激(ガス暴露、光、磁場、電場等)をナノ構造体に与えて、その相互作用を測り単ナノ構造体の物性を調べる。例えば、この高感度センサを利用すれば、カーボンナノチューブなどのように様々な構造を持つナノ構造体を微量取りだし、その特性・物性を調べることができると期待できる。ナノ材料はその広い応用への期待から盛んに研究がなされているが、様々な構造・形態をとるため、これまで測られた物性は平均的なものでしかない。本年度は、ナノ構造の成長を制御するためのマイクロデバイスを更に高感度化するための研究を行った。微細加工技術により、ナノメートルの最小寸法にまで小型化したナノ振動子の特性を評価した。ナノ振動子を利用したセンシングでは、そのQ値が高いことが必要であるが、単結晶シリコン材料で、Q値に構造の方位性があることを見出した。具体的には振動子の長手方向を<110>の結晶方位にすることで、機械損朱が小さく大きなQ値が得られる。得られた振動子をナノ材料の昇温脱離スペクトルの測定に利用した。2本の振動子の共振を同時に測定し、一方の振動子の上にはピコグラムの質量をもつ試料を乗せて実験を行った。以上の研究は、微小空間でナノ構造を創成し、それを評価するマイクロシステムの基礎となる。
すべて その他
すべて 文献書誌 (12件)