研究課題
若手研究(A)
医療、化学分析、動力源など物質や熱の移動が性能を支配するシステムの高度化・小型化・機能化を図るべく、MEMS技術を用いて製作したマイクロチャンネル中の気液二相系の熱流体現象を、壁面構造や熱制御方法など設計の立場から探求した。壁面構造については多孔質面に着目し、その断熱性能と撥水性能に関する研究をさらに進展させた。断熱に関しては、多孔質部の厚さを増すことがなによりも肝要である。そこで、昨年までは表からの光照射によって数ミクロンのポーラスシリコンが形成されていたが、今年度は裏面から照射することで約8時間で厚さ120ミクロンのポーラス化に成功した。また、シリコン基板を用いたMEMS技術では各種の酸化シリコンを積層して利用するため、その酸化シリコン間の熱抵抗について詳しく調べた。結果としては酸化シリコンの成膜方法によって大きく熱抵抗が異なり、上層が低温プロセスであることが断熱性能強化には有効であることなどがわかった。また、昨年度に接触角150度の超撥水性を達成したポーラスシリコンであるが、そのメカニズムが十分わからなかったため、今年度は電子線リソグラフィーを用いてナノオーダーの微細構造と接触角との関係を調べた。境界線の跡を電子顕微鏡で観測して、その場合の接触線付近では表面張力の作用が強く働いていることが明らかになった。超微細な加熱については、同じく電子線リソグラフィーを用いて1ミクロンより細い白金線を基板から0.2ミクロン程度浮かしたものを製作してその物性を調べた。ナノ熱線特有の物性変化の発見とともに、ヒーターとしての実用化手法を確立することができた。
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